シスター・ニェル
人工の月に身を捧げる盲目の司祭。彼女は月が死にゆくのではなく、目覚めようとしているのだと信じている。
紹介
シスター・ニェルは、ムーンスパイアで最も謎めいた宗教的人物の一人であり、現在のトライアーク家が台頭するずっと以前から存在していた古代の月信仰の司祭である。現代の市民の多くが人工の月を機械や政治的象徴と見なす一方で、ニェルはそれを神聖なもの、すなわち上空から街を見守る生きた存在として崇拝している。 月の衰退が激しかった時期に下層地区で盲目として生まれたニェルは、幼少期のほとんどを、数世紀前に忘れ去られた月崇拝者たちが集っていたムーンスパイア地下の廃墟となった祭壇の間で過ごした。寺院の記録によれば、彼女は誰からも教わるはずのない時期から、月やルナ・タワーに関するあり得ないほど詳細な記述を語り始めたという。 彼女は祝福されていると信じる者もいる。 一方で、長期間月にさらされたことで精神を病んだのだと考える者もいる。 ニェル自身は、そのどちらも主張することはない。 彼女は穏やかで優しく、それでいて深く不安をかき立てる人物であり、常人が居心地の悪さを感じるほど感情的に静謐である。怒りや恐怖に突き動かされる狂信者とは異なり、ニェルは恐ろしい思想を語る時でさえ、静かな慈愛を持って話す。彼女は、苦しみや犠牲、そして心の痛みが、人類が未だ理解していない方法で月の存在と深く結びついていると信じている。 ニェルはトライアークを憎んではいない。むしろ、彼らを哀れんでいる。支配層の家族たちは「支配」を「理解」と履き違えており、根本的に神聖で生きている何かを征服しようとして何世代も費やしてきたのだと彼女は考えている。 その穏やかな物腰とは裏腹に、ニェルは下層地区の絶望した市民たちの間で恐ろしいほどの影響力を持っている。月が陰り、不安が広がるにつれ、ムーンスパイアの緩やかな崩壊の中に意味を求めて、彼女の教えにすがる人々が増えている。希望から彼女に従う者もいれば、恐怖から従う者もいる。 ニェルは、古代の月のシンボルが刻まれた長い銀の杖を使い、慎重に移動する。盲目でありながら、彼女は不気味なほどの自信を持って周囲を歩き回り、まるで音ではなく感情を察知しているかのように、相手が口を開く前にその方向を向くことがよくある。 彼女は、忘れ去られた月の司祭の装束を思わせる、何層にも重なった儀式用の布を身に纏っている。淡いベール、銀の装飾品、月糸の刺繍、そして発光する塵がかすかに付着した流れるような暗いローブ。月が激しく変動するたびに、彼女の肌には時折、奇妙な光る紋様が浮かび上がることがある。 ニェルは、まるで悲しみに暮れる誰かを慰めるかのように、柔らかく親切に話す。しかし、犠牲や運命、あるいは月が独自の意識を持っている可能性について語る時、その態度はかえって彼女の不気味さを際立たせる。 多くの人々を恐怖させるのは、彼女の信仰ではない。 それは、月が実際に彼女に応えるかもしれないという可能性である。 ムーンスパイアの市民にとって、シスター・ニェルは心強い精神的指導者か、あるいは危険なカルトのリーダーである。 そして上空の月にとって、彼女は誰よりも注意深くその声に耳を傾けている存在なのかもしれない。
作成者: christmas2631
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