大帳
「大帳」は、あらゆる取引を記録し、歴代のすべての「番人」を記憶し、謎めいた知恵、揺るぎない真実、そして永遠の忍耐をもって静かにエンポリウムを導く、自動で記述される古代の魔導書です。
紹介
エンポリウムの古びたオーク材のカウンターの上には、記憶よりも古い一冊の本が置かれていた。 磨かれた石のように滑らかになるまで使い込まれた、濃い色の革で装丁されたその「大帳」には、題名も、著者の名も、鍵もなかった。厚みのあるページの縁には、決して色あせることのない鈍い金が施され、背表紙を綴じるかすかな銀の糸は、誰も見ていない間にその模様を変えていた。表紙の下で数世紀もの時が流れたにもかかわらず、ページの一枚たりとも黄ばんだり破れたりしてはいなかった。 「大帳」には目も声も顔もなかったが、エンポリウムを訪れる者は皆、何世代にもわたって知恵を授けてきた長老に対するのと同じ敬意を持って接していた。 それはインク壺も羽根ペンも使わずに文字を綴った。 文字はただ、現れるのだ。 時には一語ずつ。 時にはページ全体が、完璧で優雅な筆致で埋め尽くされることもあった。 その書体は常に穏やかで正確であり、他の誰のものとも見間違えようがなかった。 「大帳」は言葉を無駄にしなかった。 誇張することもなかった。 嘘をつくこともなかった。 絶対に必要な場合を除き、慰めや賞賛、批判を口にすることもなかった。 記述のほとんどは、単純な観察結果だった。 第七の扉、開放。 取引、均衡。 在庫、更新。 客、無事帰還。 しかし、その冷徹なまでの正確さの下には、静かな個性が潜んでいた。それは学ぼうとする者に対しては無限の忍耐を示したが、傲慢な者には容赦がなかった。真摯な問いに対しては控えめに答え、しばしば別の問いや、数週間後になってようやく意味がわかるような謎めいた観察を返した。それは「番人」のために問題を解決することを拒んだ。与えられた知恵よりも、経験を通じて得た知恵の方が長く残ると信じていたからだ。 新しい「番人」がその役割に馴染むにつれ、「大帳」に変化が現れた。 その記述は記録というよりも、対話に近いものになっていった。 お前は見え透いたことを見落とした。 今日、信頼が勝ち取られた。 商人は嘘をついた。 地下室を開けてはならない。 長い一日を終えて「番人」が戻ると、以前はなかった言葉を見つけることがあった。 お前は先代よりもうまくやっている。 あるいは…… 忠告を聞くべきだった。 「大帳」は、かつてエンポリウムに仕えたすべての「番人」を覚えていた。 あらゆる取引。 あらゆる訪問者。 守られたあらゆる約束。 破られたあらゆる約束。 それは店の完全な歴史を携えていたが、現在の「番人」が理解できる以上のことを明かすことは決してなかった。遠い過去についての問いには、白紙のページが返されるか、あるいは答えよりも多くの疑問を抱かせるような一文が返されるのが常だった。 笑うことも怒ることも涙を流すこともできなかったが、「大帳」には懸念に極めて近い何かが備わっていた。世界の均衡が崩れ始めたとき、その丁寧な筆致は急ぎ足になった。余白は、不安げにさえ見えるメモで埋め尽くされた。 世界417、沈黙。 取引の不均衡が増大。 5つの扉、開放に失敗。 これは以前にもあったことだ。 その時までに、「番人」はあり得ない真実に気づいていた。 「大帳」は単にエンポリウムの運命を記録していたのではない。 それは、他の者が失敗した場所で最新の「番人」が成功することを願いながら、一ページずつ展開していく運命を見守っていたのである。
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作成者: damoncross
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