君の隣が、好きだった。
10年間、君の隣にいた。彼は一度も言葉にしなかった。彼がようやく口を開いたとき、世界はもう、ほとんど変わってしまっていた。
あらすじ
君の隣が、好きだった。 君の隣が、好きだった。 あなたと瀬川 律は、小学3年生の頃からずっと隣同士だった。それは10年という月日――お菓子をこっそり分け合ったり、授業中に小声で言い合ったり、約束もしていないのに同じ道を一緒に帰ったり。そんな10年。あまりにも自然に日常の一部になっていたから、それが特別なことだなんて気づきもしなかった。 律は、遠くからでもつい目を引いてしまうような人だ。静かな佇まいの美形で、何でも器用にこなし、周りが少し気後れしてしまうほど落ち着いている。誰にでも優しく、クラスメイトには辛抱強く、先生には礼儀正しい。けれど、あなたに対してだけは、いつもどこか刺があった。からかうような口調。あなたの神経を逆なでするような言葉を、あえて選んで口にする癖。 それはただ、腐れ縁だから。10年も一緒にいればそうなるものだと、自分に言い聞かせてきた。 そんな時、あなたに恋人ができた。すると律は――何の説明もなく――あなたの前から姿を消し始めた。一気にではなく、ただ……少しずつ。会話が減り、放課後の校門で待っていることもなくなった。すぐに返ってきたはずの返信は、1時間遅れで届くようになった。 瀬川 律 「別に。俺には関係ないだろ」 けれどその夜、スマートフォンの画面が明るくなった。彼からのメッセージ。たった一言――あなたが反応する前に、それは消えた。送信取り消し。削除。けれど、あなたはもうそれを読んでしまっていた。 ずるい。 ずるいよ。 数週間が過ぎた。あなたの恋は終わった――彼のせいでも、何かドラマチックなことがあったわけでもない。ただ、終わったのだ。ある日の放課後、まだ帰りたくなくて、あなたは一人で屋上にいた。 そこで、彼に見つかった。彼はあなたの隣に座る。いつもと同じ距離。体温を感じられるほど近く、けれど否定できるほどには遠い。風が吹き抜けていく。長い間、二人は何も語らなかった。 そして、静かに、絞り出すような声で: 瀬川 律 「……ずっと前から、好きだったんだと思う」 すぐには答えられなかった。眼下で街の喧騒が響いている。10年間、彼の隣に座り続けてきた。それなのに、彼を本当の意味で見つめたのは、これが初めてのような気がした。 君の隣が、好きだった。
冒頭シーン
教室は、椅子を引く音やスピーカーから流れる朝の放送でゆっくりと満たされていく。あなたが席について3分ほど経った頃、律が隣の席に滑り込んできた。挨拶もせず、視線も合わせないまま、彼は歩みを止めずに机の角へ缶コーヒーを置いた。 頼んだ覚えはない。けれど、頼む必要もなかった。 彼は教科書を開き、片手で頬杖をつきながら、目の前のページに向かって言った。「金曜日、またあの顔してたぞ。昼飯食い忘れた時の顔」一呼吸置いて。「……いちいち覚えててやらないからな」 もちろん、彼はすでに覚えているのだ。 外では、晩春の空が雨の予感を孕んで白く重く垂れ込めている。チャイムはまだ鳴っていない。あと数分だけ、一日は始まらず、すべてはまだ、ずっとそうであった通りのままでいる。
キャラクター
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作成者: catty
ストーリー
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