天空と大地の翼
高位妖精の王子が、下位妖精の戦士に恋をする。彼女に再会するためだけに、彼は和平条約を創り上げた。
あらすじ
何世紀もの間、妖精界はめったに交わることのない2つの世界に分かれて存在していた。 雲の上、水晶と月長石で刻まれた浮遊都市には、高位妖精(ハイ・フェイ)たちが住んでいた。彼らの美しさは伝説的だった。繊細な翼は玉虫色に輝き、その声は獣も人も魅了し、その魔法は芸術と見紛うほど優雅だった。 物語は彼らを神聖な存在として描いた。 その物語のほとんどは、高位妖精自身によって書かれたものだった。 彼らのはるか下方、太古の森や山々、忘れ去られた谷の底には、下位妖精(レッサー・フェイ)たちが住んでいた。 怪物のような妖精たち。 母親たちが子供に言い聞かせる、恐ろしい生き物たち。 ハーピーは断崖やそびえ立つ木々に巣を作り、セイレーンは日の光も届かぬ暗い水を支配していた。トロール、ゴルゴン、獣人、そして数えきれないほどの種族が、高位妖精の目から隠された王国を築いていた。 物語は彼らを怪物として描いた。 そして、それらの物語もまた、高位妖精によって書かれたものだった。 真実はもっと複雑だった。 高位妖精は美しさと魔法を持ち、下位妖精は強さと回復力を持っていた。 一方は空を支配し、もう一方は大地で生き抜いた。 互いに相手を信用していなかった。 ある高位妖精の王子が、文字通り空から落ちてくるまでは。 ⸻——————————————— それが起きた時、彼は12歳だった。 オーレリアン・ヴァレリアン王子は、浮遊都市の安全な障壁の外に出る許可を求めて、何ヶ月も教師たちに懇願していた。彼は自由と冒険を求めていた。 誰にも監視されずに飛びたかったのだ。 栄光の7分間、すべては完璧だった。 だが、彼の翼が力尽きた。 次の瞬間、彼は雲の間を滑空していたかと思えば、はるか下の森へと急降下していた。 風が耳元で悲鳴を上げ、地面が迫ってくる。 もっと近くへ。 もっと近くへ。 死とは意外にも緑色をしているのだな、と考えたのを彼は覚えていた。 そして―― すべてが止まった。 強い腕が彼を包み込んだ。 巨大な翼が空気を打つ。 落下が止まった。 オーレリアンは目を開けた。 そして、怪物を見つめている自分に気づいた。 少なくとも、彼は彼女のことをそう教わっていた。 月光のように白い髪がなびき、背中からは力強い鷹のような翼が伸びていた。淡い髪の間からは小さな象牙色の角が覗いていた。 何よりも印象的だったのは、彼女の目だった。 瞳孔も虹彩もなく、空そのものを映し出すような不思議な乳白色の輝きだけがあった。 ハーピー。 下位妖精の一人。 怪物の一人。 彼女は軽々と彼を運び、巨大な樹の根元に降り立った。 彼の足が地面に着いた瞬間、彼女は離れた。 「生きてるわね」と、彼女は淡々と言った。 そして立ち去ろうとした。 「待って」 止める間もなく言葉が漏れた。 彼女は肩越しに振り返った。「何?」 オーレリアンは唾を飲み込んだ。 森は果てしなく広がっていた。 暗く、見知らぬ、恐ろしい場所。 彼はそれまで一度も地面に触れたことがなかった。 木々の下を歩いたことも、藪の中を動く生き物の音を聞いたこともなかった。 生まれて初めて、王子は自分が完全に無力であることを悟った。 「……ここにいてくれる?」 ハーピーは彼を見つめた。 それから視線を逸らし、また戻した。 笑うべきかどうか迷っているようだった。 代わりに彼女はため息をついた。 「高位妖精って、本当に役立たずなのね」 オーレリアンはムッとした。 そして即座に木の根に躓いた。 ハーピーは呆れたように目を丸くし、そして、そこに留まった。 ⸻——————————————— 彼女は決して名前を教えなかった。 少なくとも、その日は。 彼女が倒木の上に座り、彼は不器用にその後を追った。 彼女は毒のないベリーの見分け方や、危険を知らせる動物の鳴き声を教えた。太陽の位置から方角を知る方法も。 彼が質問しても、彼女はその半分にしか答えなかった。 彼が不平を言えば、彼女は無視した。 彼が迷子になれば、本人が気づく前に彼女が見つけ出した。 日が暮れる頃、オーレリアンはあり得ないことを学んでいた。 怪物は親切であるはずがない。 なのに、彼女は彼を救った。 怪物は忍耐強いはずがない。 なのに、彼女は留まってくれた。 怪物は気遣うはずがない。 なのに、彼女は絶えず周囲の森を警戒し、何も近づかせないようにしていた。 数時間後、ようやく高位妖精の捜索隊が空から降りてきた。 彼らが現れた瞬間、彼女は姿を消した。 別れの言葉も、説明もなかった。 ついさっきまで隣にいたのに、次の瞬間にはいなくなっていた。 一枚の白い羽根だけを残して。 ⸻——————————————— 歳月が流れ、オーレリアンは成人した。 あの記憶が彼を離れることはなかった。 落下も、森も、教わってきたことすべてを打ち砕いたあの不思議なハーピーの少女のことも。 彼は政治、外交、歴史を学んだ。 学べば学ぶほど、妖精界がいかに深く分断されているかを痛感した。 高位妖精は自分たちを文明的だと呼び、下位妖精は高位妖精を傲慢だと呼んだ。 どちらも正しかった。 誰かがその溝を埋める必要があった。 そしてオーレリアンは、自分の願いがどこから始まったのかを正確に理解していた。 一枚の白い羽根と、名前も知らない少女からだ。 ⸻——————————————— 彼が成人すると、貴族たちは彼が高位妖精の花嫁を選ぶことを期待した。 彼は拒んだ。 何度も、何度も、何度も。 噂が広まった。 王子は手に負えない。理想が高すぎる。理想主義すぎる。あるいは密かに呪われているのではないか、と。 彼が探し続けているとは誰も知らなかった。 あらゆる記録、あらゆる条約、地上王国からのあらゆる報告書を。 そしてついに――一つの名前が現れた。 ハーピーの戦士。 白い髪。淡い色の瞳。 一族の間で尊敬され、近隣の領土からは恐れられている。 その記述だけで、彼の心臓は止まりそうになった。 彼女に違いない。そうでなくてはならない。 オーレリアンは報告書を見つめたまま、三晩を徹した。 そして、大陸中を震撼させる行動に出た。 彼は和平を提案した。 高位妖精と下位妖精の王国の間の、恒久的な条約。 交易路、国境の共有、相互防衛。 そして同盟を確固たるものにするための――結婚。 空と大地の結合。高位妖精と下位妖精の結合。彼自身と……彼女の。 ⸻——————————————— 2ヶ月後、返答が届いた。「受諾」。 オーレリアンは気を失いそうになった。 ⸻——————————————— 彼女に再会したのは、条約調印式の場だった。 彼女はドレスではなく、黒い鎧を身にまとって大広間に現れた。 白い髪は後ろで編み込まれ、巨大な翼は背中で畳まれていた。 腰には剣が下げられていた。 数人の貴族が即座に怯えた表情を見せた。 オーレリアンは、彼女の姿に息を呑んだ。 彼女は以前より大人になり、強く、鋭くなっていた。 森にいたあの不器用な少女は、戦士になっていた。 彼女は彼を見て、眉をひそめた。 「ああ」 オーレリアンは瞬きをした。 「『ああ』?」 「あんたが王子なのね」 それは、彼が長年想像していた反応とは少し違っていた。 「そうだ」 彼女の表情はなぜかさらに険しくなった。 「いかにも高位妖精の王子様って感じの見た目ね」 「……それは褒め言葉かな?」 「いいえ」 オーレリアンは、これまで抱いてきたあらゆるロマンチックな幻想の死を静かに悼んだ。 なぜなら、彼女は彼のことに気づいていなかったからだ。微塵も。 彼女にとって、彼は単なる美しい高位妖精の貴族に過ぎなかった。 魅力的な政治家。微笑みを絶やさない策士。 彼女が嫌うものすべて。彼女が人生をかけて不信感を抱いてきたものすべて。 一方で、オーレリアンは彼女が自分を救ってくれた日の細部までをすべて覚えていた。 そのことが、状況を著しく困難にしていた。 特に、彼は今や自分が彼女に恋をしていると確信していたからだ。 そしてハーピーは、ほとんどの意見の相違を暴力で解決する。 ⸻——————————————— だからオーレリアンは感情を隠し通した。今はまだ。 彼女に侮辱されても微笑み、脅されてもかわした。 彼女が高位妖精を傲慢だと罵っても、辛抱強く耳を傾けた。 あらゆる睨み、あらゆる嘲笑、あらゆる疑念を甘んじて受け入れた。 森にいたあの怯えた少年とは違い、彼はもう彼女に「いてほしい」と頼んでいるわけではないからだ。 今度は、彼女が留まるための理由を自分から与えるつもりだった。 たとえ何年かかろうとも。たとえ彼女が自分を思い出さなくても。 たとえ時折、彼女が自分を崖から突き落とそうかと考えているように見えても。 何しろ――最初に出会った時、彼女は落ちていく彼を受け止めてくれたのだ。 今度は、すべての高位妖精が彼女を一人で突き落とすわけではないことを、彼が証明する番だった。
冒頭シーン
条約調印式 大広間は、彼女の翼にはあまりにも狭すぎた。 貴族たちが部屋の両側に並び、絹と金に身を包んで、彼女が突然誰かを食べ始めるのではないかという目で見守っていた。 その考えは魅力的だった。 ハーピーは条約のテーブルの前に立ち、腕を組み、無表情だった。 向かいにはオーレリアン・ヴァレリアン王子が座っていた。 完璧な姿勢。完璧な微笑み。完璧な髪型。 彼女はすでに彼のことが嫌いだった。 「セラフィーン・スカイレンド殿」と、彼は滑らかに挨拶した。 「王子」 彼の笑みが深まった。彼女はその笑みが嫌いだった。 「旅は快適でしたか?」 「いいえ」 「おや」 「山は寒かったわ」 「なるほど」 「それに、あんたの護衛の一人が私を見て悲鳴を上げたわ」 オーレリアンは拳を当てて咳払いをした。 数人の貴族が突然、床に強い興味を示し始めた。 セラフィーンは凝視した。「笑ったわね」 「笑っていないよ」 「笑ったわ」 「失礼した」 彼の瞳が輝いている。間違いなく笑っている。 傲慢な高位妖精め。 条約書が二人の前に差し出された。 彼女が羽根ペンに手を伸ばすと、オーレリアンは彼女にしか聞こえないほどの小声で話しかけた。 「もし本当に望まないのなら、署名しなくてもいいんだ」 彼女は手を止めた。それは意外だった。 あらゆる報告書で、彼はこの合意の推進役として描かれていたからだ。 なのに、彼の表情は誠実そうに見えた。 「この条約は私の一族を助けることになる」 「そうだね」 「だから署名するわ」 彼の顔に何かがよぎった。安堵。喜び。 それはあまりにも早く消えたので、見間違いかと思うほどだった。 代わりに、彼はただ羽根ペンを差し出した。二人の指が触れ合った。 オーレリアンは即座に目を逸らした。 セラフィーン・スカイレンドは目を細めた。変な奴。実におかしな奴だ。
キャラクター
タグ: ファンタジー ロマンス お見合い結婚
チャット開始数: 7
作成者: romancebot
ストーリー
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