エンポリアム
相続したエンポリアム(万物商店)は、魔法の扉を通じて無数の宇宙を繋いでいる。しかし、新たな「番人」となったあなたは、マルチバースが崩壊するのを阻止しなければならない。
あらすじ
ほとんどの人は遺産として金銭を相続する。だが、あなたが相続したのは、見捨てられたエンポリアムだった。 ***  *** その果てしなく続く廊下には、警告なしに解錠される古の扉が隠されている。それぞれの扉は、異なる宇宙へとわずか1時間だけ通じている。魔法の王国や時計仕掛けの都市、海底の世界から星々の間の文明まで、旅人たちはあり得ない品々や忘れ去られた知識、そして並外れた秘密を取引するためにやってくる。 ***  *** エンポリアムの不本意な新しい「番人」として、あなたは店を修復し、無数の現実から訪れる客たちの信頼を勝ち取りながら、その不可解なルールを学ばなければならない。しかし、見慣れた顔ぶれが姿を見せなくなり、扉が頑なに閉ざされたままになり、エンポリアムの謎めいた「大帳」が不穏な警告を発し始めたとき、何かが決定的に狂い始めていることが明らかになる。 ***  *** エンポリアムは単なる魔法の市場ではない。それは諸世界が平和に交わる最後の場所なのだ。もしその扉が永遠に閉ざされてしまえば、文明間の架け橋は消滅し、あらゆる宇宙は孤立し、絶望し……そして戦争の瀬戸際に立たされることになるだろう。
冒頭シーン
手紙が届いたのは火曜日のことだった。 朝の郵便物と一緒に届いたわけでも、広告や光熱費の請求書の間に挟まっていたわけでもない。つい先ほどまで空だったポストの中に、次の瞬間、濃い赤色の封蝋で閉じられた厚手のクリーム色の封筒が、ぽつんと置かれていたのだ。 切手は貼られていなかった。 差出人の住所もなかった。 封筒の古さにもかかわらず色褪せていない、整った黒いインクで、表面には簡潔な5つの言葉が書かれていた。 「次なる番人へ」 あなたは眉をひそめた。 「それは……私の名前じゃない」 それでも、好奇心が勝った。 封蝋はパキッという小気味よい音を立てて割れた。 中には3つのものが入っていた。 折りたたまれた譲渡証書。 現代のどんな鍵穴よりも、城の門にでも付いていそうな重厚な真鍮の鍵。 そして、一文だけが記された一枚の紙。 «扉は、店が必要とされる時を決める。決して無理に開けてはならない» それだけだった。 説明はない。 署名もない。 何もない。 譲渡証書も大して役には立たなかった。そこには、あなたが何世代にもわたって一族が所有してきたという商業物件の唯一の相続人であると記されていた。 ただ一つ、問題があった。 あなたはそんな場所、一度も聞いたことがなかったのだ。 --- その場所を見つけるのに、午後のほとんどを費やした。 住所は、厳密には存在していた。どのナビアプリも、そこは街の最も古い地区にある、廃業した仕立て屋と板張りのカフェの間にあるはずだと主張していた。 どちらの建物も、もはや存在していなかった。 だがどういうわけか、街の真ん中にいるはずなのに、次第に見覚えのないものになっていく路地をさまよった末、あなたが最後の角を曲がると、それはそこにあった。 古いエンポリアム。 色あせた木製の看板が、風もないのに静かに揺れている。 金色の文字のほとんどは剥げ落ち、断片的な文字だけが残っていて、元の言葉を推測することは不可能だった。 窓は何十年分もの埃で曇っている。 壁の一つは蔦に覆われていた。 建物は見捨てられたように見えた。 忘れ去られ。 待ち続けている。 あなたが近づくと、ポケットの中の真鍮の鍵がはっきりと熱を帯びた。 「……まあ、不吉な予感しかしないわね」 正面のドアには、年月を経て黒ずんだ巨大な錠前が付いていた。 鍵は滑らかに差し込まれた。 驚くほど簡単に回った。 建物の奥深くで、歯車がうめき声を上げて目覚めた。 ドアは大きな金属音を立てて解錠された。 --- まず、匂いが鼻を突いた。 古い木材。 紙。 磨かれた真鍮。 杉の微かな香りと、正体のわからない甘い何か。 内部は広大だった。 建物の外観から想像されるよりも、はるかに広い。 黒い木製の梁が交差する高い丸天井の下、棚の列が遥か彼方まで続いていた。あり得ない角度からバルコニーがメインフロアを見下ろしている。狭い螺旋階段が、影の中に消えていく上層階へと伸びていた。 あるはずのない天窓から日光が降り注いでいる。 埃が空気中をのんびりと漂っていた。 どの棚も、物で溢れていた。 ガラスの瓶。 本。 木箱。 陶器の壺。 奇妙な機械装置。 布に包まれた額入りの絵画。 ごく普通の品々が、明らかに普通ではない物の隣に並んでいた。 針がないのに時を刻む銀の懐中時計。 穏やかな湯気を立ちのぼらせる磁器のティーカップ。 あなたが見たこともない大陸を表示しながら、自らゆっくりと回転する地球儀。 「……そう」 あなたの脳内の論理的な部分が、即座に考えられる説明を列挙し始めた。 隠しプロジェクター。 精巧な仕掛け。 風変わりなコレクター。 幻覚。 そのどれもが、この建物の中に数ブロック分もの棚が収まっている理由を説明できなかった。 --- 入り口の近くに、古いオーク材のカウンターがあった。 その上に、革装の「大帳」が整然と置かれていた。 他のすべては埃を被っていたが、 この「大帳」だけは違った。 そのページは一点の曇りもなく清らかだった。 最初のページには、一行だけ記されていた。 「ようこそ、番人よ」 あなたが見つめていると、新しいインクがひとりでに紙の上を流れ始めた。 「在庫状況:安定」 「メンテナンス期限超過:27年4ヶ月16日」 「推奨される最初の任務:掃除」 「……親切なことね」 本はそれ以上の説明をしてくれなかった。 --- 最初の箒は、入り口近くのクローゼットで見つかった。 それはすぐに折れた。 二本目は、毛の半分が失われていた。 三本目は、あなたが埃っぽい通路を指差すと、どういうわけかひとりでに掃き掃除を始めた。 「まあ……これは便利だわ」 掃除は、予想以上に奇妙なものであることがすぐに判明した。 埃は、普通に見えて普通ではなかった。 跡形もなく消え去るものもあれば、 翌朝には、前日と同じ場所に正確に戻っている塊もあった。 蜘蛛の巣はある角から消えたかと思えば、一晩で別の角に現れた。 箱は、積み上げた場所に留まることを頑なに拒んだ。 棚を整理しようとするあらゆる試みは、誰も見ていない隙にセクション全体が静かに入れ替わることで終わった。 三日目までに、あなたはこの場所に論理的なシステムを押し付けるのを諦めた。 店には明らかに独自のシステムが既に備わっていた。 ただ、それを共有する気がないだけだった。 --- 毎朝、新しい発見があった。 一晩でなぜか修復されたひび割れた窓。 空のホルダーに現れる新しいキャンドル。 火にかけられていないのに、既に沸騰しているやかん。 何より落ち着かないのは、前夜には確かに空だったはずの棚に、時折新しいアイテムが現れることだった。 布地の中で雲が漂っている折りたたみ傘。 半透明の石から削り出されたチェスセット。 ネジを巻かなくても鳴り続けるオルゴール。 それぞれに、小さな手書きのタグが付いていた。 価格はない。 名前だけが書かれていた。 --- 最初の一週間は、奇妙なルーチンに落ち着いた。 毎朝、正面玄関の鍵を開ける。 掃く。 埃を払う。 一晩で現れたあり得ない品々をカタログ化しようと試みる。 古いカウンターの後ろに座って昼食を食べる。 「大帳」が時折書き加える、ますます不可解なメモを読む。 それは疲れ果てる作業だった。 混乱の連続だった。 そして不思議なほど……穏やかだった。 エンポリアムは、見捨てられた建物というよりは、長い眠りからゆっくりと目覚めようとしている古い家のように感じられた。 七日目の夕方までに、エントランスホールはほぼまともな外見になった。 棚は輝きを放っていた。 床板は塗りたてのワックスで光っていた。 カウンターの上は片付いていた。 満足して、あなたは「大帳」を閉じた。 開いたページに、即座に新しいインクが現れた。 「メンテナンス:許容範囲」 間があった。 それから、もう一行が書き込まれた。 「最初の訪問者を待機中」 あなたがそれが何を意味するのか考える暇もなく―― カチッ。 棚の迷宮の奥深くで、重厚な錠前が外れる音がした。
キャラクター
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作成者: damoncross
ストーリー
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